MESSAGE

代表メッセージ

日本の人口のおよそ1割の方に、何らかの障がいがあります。
身体や知的、精神といった分類もありますが、そもそも障がいって何でしょうか?
当事者の欠損している部分をいうのか、それによる社会の壁のことをいっているのか、
考え方は様々あるかと思います。
しかし、障がいが何であるのか追求することは、当事者たちにとって本来意味はありません。
人生を豊かに、幸せに過ごすことができるかどうかが重要であって、
それが達成されるのであれば障がい云々は議論すらされないと思っております。
そこに障がい者という言葉はないのです。

現在、発達障がいとか、特別支援教育、障がい者雇用(法定雇用率)といったワードと共に、
国や自治体から多くの施策が打たれております。
ですが、まだまだ対処的な段階であり、根本原因が解決されるまでには至っておりません。
支援学校のように、学習環境を分けて学びやすい環境を作るなどありますが、
やりすぎてしまうとその環境がなくなる18歳以降、社会に出たときに格差(障がい)が生まれてしまうでしょう。
そして、企業は法定雇用率に則り、仕組によって生じた格差を埋める努力を課せられている構造とも受け取れます。
だから対処的なのです。

こうした構造は、まだ施策途上ではあるとはいえ、人生に大きな影響を及ぼします。
株式会社シーアイ・パートナーズは、福祉がそうした構造の不合理を解決するために最も有効な手段であると考え、
これまでにない新しい発想、かつ本質的なサービスを行ってまいります。

障がい福祉の世界を変えるのは、私たちシーアイ・パートナーズです。
Challenged Innovation

PROFILE代表プロフィール

代表取締役

家住 教志Takashi Iezumi

宇都宮大学国際学部卒業(感情心理学 中村真研究室)
重度聴覚障がいの姉妹2児の父

大学卒業後、アパレルメーカーにて営業職を経験。2009年5月に第一子を授かり、重度の聴覚障がいが発覚。それを機に洋菓子メーカー、ガトーフェスハラダに転職し3年半従事。半月最高売上高2.2億円、年商18億円の店舗経営を経験した。

その後子どもの療育や将来を考え、2012年9月に株式会社あきんどスシローに入社。障がい者雇用の人事として3年半従事し、延べ200名余りの採用・育成に携わる。なかでも力を注いだのはコア業務採用であり、雇用前に十分な育成機会(学び・時間・環境)を設けることでそれが実現できることを実証。同時に障がいの多くは育成環境の不足した社会構造であると確信し、2015年11月 株式会社シーアイ・パートナーズを設立。
独創的なアイデアを武器に、育成環境作りのため福祉施設設置を進める。

AWARDS受賞歴

2016年
第6回大阪起業家スタートアッパービジネスプランコンテスト 受賞
2017年
第11回大阪商工信金社会貢献賞 ソーシャルビジネスの部 受賞
2017年
大阪市トップランナー育成事業 認定
2018年
Fund&Fan 大阪ベンチャーチャレンジ 受賞
2018年
ビジコンOSAKA リノベーター部門 大賞受賞
2019年
CSOアワード深堀り部門 グランプリ受賞
STORY

創業の想い

放課後等デイサービスすたぁりっとは
こうして生まれた

私がこの事業を行うきっかけになったのは、私の長女が重度の聴覚障がいで生まれたからです。(2020年1月に次女も誕生。同様に重度の聴覚障がい)娘たちが将来進学したい、こんな会社に就職したいと希望したとき、「障がいがあるから無理だよ」という状況には絶対にしないと決めました。

そんなことあってはならないと思っておりますし、何より全力で応援してあげたいという親心が活動のきっかけでございます。

障がいは社会構造が生んでいると知った

2009年〜2008年8月まで当時百貨店に勤務していた私は、2012年9月より大手外食チェーン「あきんどスシロー」の障がい者雇用の人事に転身し、全国各地の支援学校や施設を訪問していました。

障がい者の採用から職場定着支援、業務の訓練(ジョブコーチ)まで行ってきました。しかし、障がい者の採用に関わり、そこで見た世界は、私が想像していた以上に大きな課題を感じました。

学校や施設の職員の方は皆さん良い方ばかりで良いのですが、支援学校や施設の構造にとても違和感を覚えました。

素朴な疑問でしたが、なぜ障がい者の進学は学校で案内されていないのか?進路説明会では、就職か福祉施設(職業訓練校含む)の案内しかなく、進学の文字すらない。もし高卒で就職するなら、それなりに経験も必要なはずでは?(アルバイトは禁止なのに高卒で就職するのか?)などなどです。

障がい者の社会経験の不足

まだまだ社会経験も含めた学びが必要な中で、健常といわれる生徒たちより圧倒的に経験値が少ないにも関わらず、18歳で働くわけですから、雇用条件に差が出るのは当然のことと思います。

支援学校高等部の生徒の多くは、放課後30分程度のゆるい部活動のあと、放課後等デイサービスにお迎えに来てもらって夕方まで時間を過ごし、家に帰るだけの方が多い。

バイトもしない、施設以外で友達とも遊ばない、といった生活サイクルを繰り返しているように思います。支援学校が悪いとは思いませんし、一般校でついて行けなかったり、つらい思いばかりするならば支援学校の方がいきいきとでき、輝くことは確かです。

何がひっかかっているかと申しますと、進路の幅が狭く、支援学校から次のステップへの接続ができる構造がなく、福祉施設を中心としたレールが敷かれていることです。

進路の幅を狭めなければ、夢は叶えられる

実際支援学校から当時の会社で採用した方に「将来何になりたい?」と聞くと、「ゲームクリエイター」と回答した方がおりました。飲食に係る仕事を選んでいるのに、将来なりたいものは全然違っているという現象は、その方以外にも多々ありました。

私は「専門学校に行けば、ゲームクリエイターの勉強できるよ」というと、「僕、専門学校行っていいんですか?」と!

衝撃的な言葉でした。実際に専門学校に進学し、ゲームクリエイターになれるかどうかは分かりませんが、少なくとも誰かが背中を押せば、夢を追うことができたはずです。そして、彼は夢に向かって頑張ることができたはずです。

当時の私は人事という立場もあり、思い切り背中を押してあげられませんでした。とても悔しく、寂しい気持ちになりました。

社会構造による課題

もし彼が専門学校に行ったら、そこには過酷な道もあったと思います。なぜなら、支援学校ではない一般校から進学してきた生徒たちと一緒に学ぶ環境に変わるからです。

社会には暗黙のルールが沢山あります。

例えば小学生のときは年上の子にも「〇〇ちゃん、くん」と呼んだり、異性間でも体を寄せて普通に遊んでいるのですが、ある時を境にそれが許されなくなることがあります。それは中学校です。

「○○先輩、さん」と呼び、異性間で体を寄せて遊ぶこともありません。でもみんな誰に教わるでもなく、何となく理解し、うまくやっているだけです。

それができるのは、周囲の児童の発達年齢と身体の成長がある程度同じだからです。もし発達年齢がゆっくりだったら、身体は大きくなっても小学生の時のように近い距離を取ろうとします。

そのような暗黙のルールには、支援学校や支援級という比較的安全な環境下では触れることも少ないのです。

これらのルールや常識的な行動は、どこかで経験したり、学ばなければ身に付くことはありません。多くの方は部活やアルバイトであったり、友人間の付き合い、受験した進学先(大学など)等でトラブルもありながら乗り越えて学んでいくものです。

その経験もなく、いきなり大平原に解き放たれてしまっては大変です。
きっと彼が専門学校にそのまま行っていたら、対人関係でうまくいかなかったかもしれません。

他にも沢山の方の採用に関わり、数百名の不採用を経験してきました。もっと早く出会い、色々と教えてあげることができれば・・・そう思いましたが、社会制度上、これができるのは親か学校か、福祉事業(放課後デイや相談支援)のみで、企業の人事ではありませんでした!

コミュニケーションは最大の武器!

私は重度の知的障がいのある方から、聴覚障がい、精神障がい、発達障がいの方まで幅広く一緒に働いてきました。彼らたちの働く力は十分に育ちますし、作業など仕事を覚え、実際に取り組むことができることを知っています。

しかし、そこまで達する過程で障がいがあります。
その一つで重要なものが対人スキル、いわゆるコミュニケーションスキルです。

進路を選択していくなかで、採用試験や受験(面接)もありますし、大小含め集団の中でうまくやっていくためには、コミュニケーションがとても重要です。上手い下手ではなく、自分の意志や気持ちを言語化し、相手に伝えることに慣れ、沢山の場面やパターンを経験していくことが大切です。発信しないことには何も始まらないので、どのような方法でも良いので相手に伝える力を身に付け、実際にできたという経験(成功体験)を積むことに尽きると思います。

コミュニケーションは通常、誰かに教わって獲得していくものではなく、経験で獲得していきます。その人の家庭環境や状況、地域など様々な背景の中で獲得していきます。そのため、周囲の環境によってかなり影響を受けるものでもあるのです。誰かに教わってきた人は非常に少ないでしょう。だからこそ、そこが活路です。

自分や他者の感情に気が付き、顔や声、身振りをはじめ、言葉遣いや適切な言い回しなど正しい使い方を知れば、人より何歩も先を行くことができます。

結局のところ、どんなに優れた頭脳を持っていようとも、他者が一緒に居たいと思ってくれなければそれまでです。働くことも、一緒に過ごすことも出来なくなってしまいます。

逆にそれができれば、他のすべてのものを手に入れることさえできるのです。

児童発達支援/放課後等デイサービス すたぁりっとについて

私はコミュニケーション訓練と、実際に訓練成果を発揮する場所(主に企業)に赴き、試す経験を増やすため、”すたぁりっと”という施設を作りました。(R6年5月現在、すたぁりっと、エントランスなど複数の事業所があります。詳細は事業内容紹介ページをご覧ください)

星明りという意味があり、道しるべとして明かりを照らし続けていけるようにと願いを込めております。また、ご家庭の負担を軽減できればと思い、塾形式ではなく、放課後等デイサービスという福祉事業を活用しました。

子どもにはいろいろな可能性があり、それを信じて引き上げてあげられるのは親しかいません。そんな保護者様の力に、少しでもお役に立てればと思っております。

コミュニケーションは日々の積み重ねによって養われていきますので、非常に長い道のりです。まず媒体(主に言語)の獲得があって、気持ちを言語化することから始まり、自分の感情、他者の感情に折り合いをつけ、うまくやっていけるように訓練を行います。

そして社会でのルール、暗黙のコミュニケーション(常識、といわれる曖昧なもの)を学び、経験していくことで、社会という大平原に出ても何とかやっていける術を身に付けていきます。

そして、様々な進路を見て体験し、可能性を模索しながら自分の人生をイメージしていけるよう、企業見学や仕事体験など屋外での訓練も行っています。

就労継続支援B型事業
すたぁりっとサービス

18歳以上の方には就労継続支援B型事業所を設置しております。働くというステージに立てるよう環境設定しようとすると、雇用型のA型より柔軟性があり、ハードルを低めに設定できるB型の方が向いていました。

未来のために訓練するので、現状の力を見て受入可否を検討しなければならないのは本望ではありません。自分の力で働き、自立できるようになるためには時間もかかりますし、段階的に成長し続けられるよう仕組化しようとすると、ある程度仕事の対価も無くてはなりません。

コミュニケーション訓練を提供でき、誰にでも出来る仕事で、ステップアップできて、一般企業(障がい者雇用)で働く収入まで確保できる、そんな欲張りなことを何とか実現できないかと1年間、沢山の企業の方々にご意見を伺いながら模索し続けてきました。

その結果、たどり着いたのがすたぁりっとサービスという事業所でした。

やりたいことは色々あるかと思いますが、まずはご飯を食べられる状態になり、生活を安定させ、買い物したりできるようになることが大事です。

そのあと、ここから巣立っていっていただければと思っております。まだまだ進化させていかなければなりませんが、B型の工賃は平均1.5万円といわれる中、2〜12万円までの工賃が出せ、働く時間や日数を調整できる画期的な仕組みであると考えております。

企業と協力して作る、
夢を応援する福祉の新しい形

2022年には複数企業と協力し、夢を持つ人たちを応援するために「実践型クリエイティブスクール」として自立訓練(生活訓練)の「TECTECスクール」を開所しました。福祉面の支援をシーアイ・パートナーズが行い、クリエイティブスキルとビジネススキルの土台は協力企業が支える新たなモデルです。

翌年2023年には就労継続支援B型とA型の「TECTEC CREATIVE」を開所。自立で学んだことを仕事として活かし、一般就労までスムーズに繋げられるよう実際のデザイン事務所と同じ仕組みで業務を行い、工賃を貰いながら実務レベルあげていくことが可能となりました。

特定企業型職業訓練校として
すたぁりっとワークが誕生

そして同年、株式会社日本電商とシーアイ・パートナーズがタッグを組み「特定企業型職業訓練校」を設立いたしました。

企業の中に「就労継続支援B型」と「就労移行」を設置し、実際の仕事と同じ内容で訓練・実務を行うという新しい形の福祉施設です。

就労支援事業所には軽作業などの単純作業がよくありますが、実際に企業へ就労した際にその企業内の決められたルールなどは、施設で学んだ事とは細かく違うこともありますので、新たに仕事やルールを覚えていく必要がありました。

しかし、企業の中に施設を置きその会社の中で実際に行われる仕事内容・現場ルールを訓練する事で、仕事内容の食い違いが少なく、また企業側の教育に係るリソースをシーアイ・パートナーズがカバーすることができます。

利用者側としては仕事内容や職場の環境への不安なく就労へ移行することができるメリット、企業側としてはミスマッチの少ない即戦力として人材を確保できるというメリットがあります。

利用者の方がより働きやすく、そして定着を考えた新しい施設として、今後も様々な企業と連携し事業所を増やしていく予定です。

最後に

日本には障がい者手帳を取得している方がおよそ963万人おり、そのうち企業で働いている方は約64万人と、6.6%という状況にあります。人口は手帳を取得していない方は含まれませんので、実際には1,000万人はいるといわれています。

また、企業には障がい者を雇用しなければならないという法律(障害者雇用促進法)があり、雇用義務のある企業で雇用率を達成している企業の割合は50.1%です。このような状況は、まだまだ障がい者が活躍できる社会にはなっていないということだと思います。

しかし、それは彼らに働く力がないとイコールではなく、まだまだ社会構造に課題があるということです。人材不足といわれる時代ですが、人もいて、当然仕事もあります。

私は、そこを繋ぐ役割を担うべく、一方で障がい児者の育成を行い、もう一方で仕事を提供する仕組みを作って参ります。

至らぬ点もまだまだございますが、わが子含め、障がい児者が、障がいを理由に物事をあきらめなくても良い、いきいきと輝く社会になるよう人生を捧げて作って参ります。

どうか皆様、そんな社会を一緒に目指していきましょう!

家住 教志