2024.12.20講演・登壇

『就労支援フォーラムNIPPON 2024』当日の様子や代表家住の登壇内容についてご紹介します!

(写真左から)株式会社日本電商 取締役会長 寺脇康祐、株式会社シーアイ・パートナーズ 代表取締役 家住教志、一般社団法人日本作業療法士協会制度対策部 部長 遠藤千冬、株式会社一心社 代表取締役社長 浦久保康裕

公益財団法人 日本財団(以下「日本財団」といいます)が主催する日本財団はたらく障害者サポートプロジェクト『就労支援フォーラムNIPPON 2024』が、2024年12月14日・15日の2日間にわたり東京ビッグサイトにて開催されました。就労支援フォーラムNIPPONについては、前回の記事で掲載しております。(前回の記事はこちら

本記事では、当日の様子や登壇内容について詳しくご紹介いたします。

はじめに

弊社代表取締役の家住は、フォーラム2日目の分科会Ⅰに登壇しました。
講演では、現在の就労支援分野において企業や求職者が直面している課題の新たな解決モデルについて、ともに事業を推進している株式会社一心社 代表取締役の浦久保社長および株式会社日本電商 取締役の寺脇会長を交えて議論が展開。講演後には質疑応答の時間が設けられ、参加者との活発な意見交換を行う場となりました。

当日の会場には、企業や就労移行支援事業所・就労継続支援事業所を運営する就労支援事業者、そのほか就労支援にかかわる関係者や機関を含む約200名の方々にご来場いただきました。皆さま熱心に耳を傾ける姿が非常に印象的で、今回のテーマへの高い関心や注目度を感じさせるものとなりました。また、講演後の名刺交換では約40名もの方々が列を成し、例を見ないほどの大盛況ぶりでした。



〇テーマ「就労移行の新たな戦略」

[登壇者]
家住教志(株式会社シーアイ・パートナーズ 代表取締役) 
浦久保康裕(株式会社一心社 代表取締役社長)
寺脇康祐(株式会社日本電商 取締役会長) 
[進行]
遠藤千冬(一般社団法人日本作業療法士協会制度対策部 部長)

登壇の背景

今回の登壇は、本フォーラムを主催する日本財団とのご縁がきっかけで実現しました。

日本財団が取り組む「日本財団はたらく障害者サポートプロジェクト」では、ただ漫然と座学を行い、定まらないターゲットのまま面接を繰り返すような就労移行支援といった現在の就労支援の在り方そのものに課題を見出し、弊社と同様に新たな解決モデルの検討と実行を進めておられました。
しかし、新たな戦略で道を切り開くことは容易ではなく、成果が思うように得られない状況が続いていたそうです。そのような中で、一般社団法人 ありがとうショップの砂長美ん理事が弊社の取り組みと実績を日本財団にご紹介くださり、その際に弊社のビジョンや実践する手法に対して強い共感と関心をお持ちいただきました。
その結果、「何のための就労支援なのか?」を再確認し、「再起動」をテーマに掲げた『就労支援フォーラムNIPPON 2024』への登壇という貴重な機会につながりました。

講演内容

講演では、はじめに株式会社シーアイ・パートナーズ設立の経緯や企業ミッション、事業展開の説明がなされ、そのうえで就労支援における様々な課題とその解決に向けた新たな戦略について話されました。企業、求職者、福祉事業それぞれの立場に触れながら進められた内容は、多角的な視点でより現場感を伝えるものでした。

リアルな育成環境を作りたい

私たちは創業以来、育成コンテンツの開発と学びの環境作りに力を注いできました。それは、人が成長するためには質の高い実践経験が欠かせないと考えているからです。実践経験が積み重なることで自信につながり、さらなる成長を促します。

そのような環境を整えるにはどうすればよいのか。模索する中で、「もし就労支援事業所が企業の中にあったら?」というアイデアが生まれました。企業で働くことができる人材を育成するのであれば、育成環境そのものを企業の現場に設けるほうが理にかなっています。

そこで、企業と連携して就労支援事業所を設立するという新たな道を切り開くことにしました。
こうして誕生したコラボレーション事業が、『TECTEC』と『すたぁりっとワーク』です。

企業と求職者の課題を福祉が解決するモデル

昨今、日本の企業は深刻な人手不足に直面しており、特に建設業や飲食業、福祉業界ではその問題が一層顕著になっています。その一方で、障がい者の雇用状況には低賃金や不安定な雇用条件、職場定着率の低さといった課題があり、働きたいと思っていても働けない方々が多く存在します。双方にニーズがあるにもかかわらず、なぜかマッチングがうまくいきません。

その原因は、障がいのある求職者(個人)が企業という集団に合わせなければならないという従来の雇用形態に限界があるためだと考えています。私たちは事業所という集団で企業と連携し、これらの課題を解決する新たなモデルを推進しています。

解決が見込める企業の課題例

1.人材の確保・育成
企業の中に事業所を設けることで、将来その企業で働く可能性が高い利用者を集めることができます。集客や人材育成は福祉事業が担うため、企業側の集客や人材育成にかかるコストを軽減できます。

2.採用戦略として(母集団の獲得とマッチング精度の向上)
就労準備中の方々から募集を行うことで、他社にはない母集団を形成します。また、一定期間の勤務を通じて働きぶりを見極めた後、直接雇用に切り替えることができ、マッチング精度が向上します。採用後も福祉事業と連携しているため、長期的な定着支援が可能です。

3.障がい者雇用の戦力化
福祉事業の支援員が主導となり、事業に直結した業務の指導やサポートを行うことで、企業の負担を最小限に抑えながら即戦力となる人材を育成できます。

コラボレーション事業

株式会社一心社との『TECTEC』、株式会社日本電商との『すたぁりっとワーク』。
各コラボレーション事業の概要や企業連携に至るまでの経緯、運営にあたっての工夫などを、浦久保社長、寺脇会長とともにお話ししました。

両者が共通して抱えていた課題について、特に印象的だったのは、「自社事業のみを続けていては、いずれ停滞が避けられないかもしれない」というものです。浦久保社長は、社会のデジタル化が進む中で印刷業界の市場が縮小していくことへの危機感を抱いており、寺脇会長は、将来的な人材確保の難しさを懸念されていました。こうした背景もあり、お二方とも「今のうちに新たな戦略を模索しなければならない」という強い思いを持っていたことが、企業連携事業の原動力となりました。

当日の講演では、企業連携によって解決できる課題や実際に解決に至った課題について、それぞれの事業を例に挙げて具体的に紹介しました。また、運営するうえでの課題として、「企業と福祉事業のどちらか一方に偏らず、バランスを保つことの難しさ」を挙げておられました。

参加者の声

講演後には、参加者の方々から内容に関する質問や嬉しい反応を多くいただきました。皆さまは目からウロコという表情で、「こんな方法があったのか」「着眼点が素晴らしい」といった感想を述べておられ、企業と福祉事業の両方から「この手法を取り入れてみたい」といった声が寄せられました。

また、ある企業の方からは「今後、この取り組みは主流になる感覚があります」とのお言葉をいただきました。私たちも、本来の就労支援に求められるサポート体制が整う未来が実現することを心から願っています。

代表コメント

この度の『就労支援フォーラムNIPPON 2024』において、「就労移行の新たな戦略」をテーマに講演させていただきました。就労支援における「再起動」を掲げた今回のフォーラムで、私たちが推進する新たな事業モデルをご紹介できたことを大変嬉しく思います。また、多くの方々がその可能性を感じ、たくさんの嬉しい反応をいただけたことに感謝しております。

私自身は企業、求職者、福祉事業それぞれのニーズを突き詰めれば、最終的にはひとつの答えにたどり着くと確信しています。しかし、それを互いの立場から主張し合うのではなく、歩み寄ることが重要であり、企業と求職者のニーズをうまくつなげることこそが、就労支援における福祉事業の役割だと考えています。企業と連携し、三者の役割やシナジーを明確にすることで、「三方よし」の関係が初めて成立します。

私たちは、「『障がい者』という言葉をこの国から無くす」というミッションの実現に向けて、引き続き就労支援に取り組んでまいります。
最後に、参加者の皆さま、講演にご協力いただいた皆さまに心から感謝申し上げます。

株式会社一心社

1949年、 活版印刷工場としての創業以来、オフセットやオンデマンドなどの各種商業印刷を展開する印刷会社。そのほか、デジタルコンテンツ制作およびプロモーション提案デザインをはじめとするクリエイティブ力の向上にも努め、「共感と共生をベースに積み重ねたクリエイティブのチカラで社会課題に向き合っていく」をテーマに様々なプロジェクトを手掛けている。(ホームぺージはこちら

株式会社日本電商

創業1927年の歴史ある電設資材・設備機器の総合商社。より豊かな電化社会をつくるため、日進月歩の電気に関するあらゆる産業資材を見出し、開発し、合理的な方法で、早く・広く・正しくユーザーに供給している。(ホームぺージはこちら

この記事を書いた人

株式会社シーアイ・パートナーズ 広報部

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